決算は認定、決算特別委員会 R5年3定5,6,7日目

第3回定例会の決算特別委員会について、小出しに記事を記載してきましたが、今回が最後です。最終的な結論としては、きちんと計画し、振り返りを求めることで採決には賛成しました。

以下、質疑の内容を原稿ベースで掲載しております。

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<<5日目 教育費>>

日本維新の会北区議員団の安達です。本日もよろしくお願いします。

まずは学校のITインフラの修繕についてです。GIGAスクールのインフラ修繕状況について資料請求させて頂きました。その結果、GIGAスクールそのものが始まってから、令和4年はまだ2年目だったということもあり、ネットワーク障害に対する修繕頻度はさほど多くないといえる状況でした。また、GIGAスクールが始まる前より、学校では別途、公務支援システムも稼働しております。

令和4年度では、GIGAスクールを含め、区内の教育システム全体の可用性をどのぐらいとして見積もっていたでしょうか?お伺いいたします。

→公務支援を定期的に行っている。可用性については、遠隔での監視を常時行っている。

サービスレベルをしっかり策定していくことは大事なことです。一般的に5~9年で、インフラのリプレイスが必要になってくると予測され、修繕については、今後ますます求められていくと思われます。是非、万全の体制を整えていってください。

続いて、GIGAスクールのサポート体制についてです。ICT支援員は2名から4名に増員したと聞いています。基本的に、ICT支援員は対学校へのサポート中心となっているかと思います。しかし、サポートを受けたいのは学校だけでなく、保護者も同様です。学校や学び未来課で保護者へ対応していたかと思いますが、令和4年度は保護者へのサポート体制に余裕があったかを伺います。

→月2回ICT支援員を学校に派遣し、教員へのサポートをしている。保護者への直接サポートはしていない。ヘルプデスク窓口の設置やマニュアル提供している。

GIGAスクールが始まり、数年経つと、先の質問のネットワークインフラだけでなく、GIGAスクール端末「きたコン」が壊れたとの問い合わせ等、保護者への対応がますます重要になってくることでしょう。こちらも万全の対応を願います。

そして「きたコン」そのものについても質問です。きたコンは4年使用となっており、児童・生徒の使用している端末はまもなく取り換えられることになります。現在はChromeBookを使用していますが、手書きに対応しているiPadを使いたい、セキュリティの担保できる端末にしてほしいとの声や一貫性を保つために同機種が良いとの声も聞いています。現在使用されているきたコンに対する評価と、後継機種についてどのような議論がされているか、伺います。

→校長教員の意見としては、「小学校低学年には重い」「一定の評価はある」「再リースを検討」
運用検討委員会では「重さ」の議論が中心。OSについては「クロームOSは使い慣れている」との声あり。

現場に耳を傾け、最適な選択をしていただきますようお願いいたします。

学力関係についての質問に移ります。

文教子ども委員会で頂いた資料や、本委員会のために請求させて頂いた資料などで学力の状況について確認させていただきました。平成28年度では区内小中学生の学力は都平均を下回っておりましたが、点数が伸びてきて、最近では都平均を上回る科目もございます。国数英、特に英語においては、ここ数年、北区の学力向上は目覚ましいものがあります。

 この状況において、「学力パワーアップ事業」、「グローバル人材育成プロジェクト事業」の成果でもあると推察されますが、区の分析を伺います。

→教員の授業改善により、子どもの学習への向かい合い方が向上。
パワーアップ講師の指導、課題のある児童へのきめ細かい指導、児童生徒の実態に合わせた授業、躓き0プラン、学力フォローアップ、外国語教育アドバイザーなどを行ってきた。

見解のご教示ありがとうございます。是非、引き続き、継続して頂きたいところです・・・と言いたいところですが、事務事業評価における課題にも記載されているとおり、教育人材の安定した確保は、重要だと私も思います。令和4年度において、教育人材の確保に何らかの新しい取り組みは行われましたか?その成果はいかがだったでしょうか?

→応募者数充足について、特段に新しい取り組みはしていない。
公募、学校推薦などでの採用をした。教員免許保持者の確保、子どもとコミュニケーションの質の確保、次期を早めた募集を研究をしていきたい。

何とか人材を発掘し、質の高い教育を続けて頂きたく思います。

そして、国数英の学力は北区は高い水準を保っている一方で、理科については課題があるといえそうです。「令和4年度 北区基礎・基本の定着度調査 調査結果からの分析」において、令和4年の中学校のいずれの学年も、全観点において目標値を下回りました。特に第2、第3学年においては、主体的に学習に取り組む態度が目標値を下回っております。理科に親しみをもってもらうという意味で、スーパーサイエンススクールやサイエンスラボなどが開催されてきましたが、これまでのSTEAM教育の成果と課題解決策について伺います。

→子どもが自然に親しみを持ってもらうのを目的。感想は「楽しかった」、「理科好きになりそう」。実験等で問題解決を学ぶ。授業では復習、教科書内容定着。別の調査において、理科は好きかという質問で肯定的回答が増えてきている。

サイエンスラボ関係の質問を続けます。

昨今、東京工業大学をはじめ、様々な理系の大学で女子特別枠を設けるなど、女子生徒に対する理系教育強化の流れがあります。北区ではサイエンスラボなどでお茶の水女子大学と提携しております。女子大との提携は、女子生徒の理科に対する関心アップに繋がると解釈すべきか、そもそもそういった狙いはあったかを伺います。

→H16にお茶大と包括協定。女子の学力アップの意図はなし。

男女の賃金格差には様々な要因があり、出産・子育てなどによる離職・休職は大きな要因ではありますが、女性が理工系の道に進まないというのもひとつの要因であると言われております。女子生徒に理科に関心をもってもらうのも、ジェンダーギャップの解消に繋がることでしょう。せっかく、女子大から講師を招いているのですから、このあたりについても知恵を頂けないかと思った次第です。

最後の質問となります。

令和元年と比較すると年々、就学援助の認定者数が減っています。以前、文教子ども委員会でもこの原因について質疑があり、所得の低い層の割合が低下し、希望者自体が減ったためと推察されておりました。念のため、改めてお伺いしますが、就学援助の認定について審査基準を厳しくしているということはないか、確認させて下さい。

→H25年8月より、生活保護基準の変更による影響はある。基準を厳しくしているということはない。

それを聞いて、安心しました。

インフラなどのハード、授業などのソフト。両方の側面から効果的な学習の機会を提供し、未来ある子ども達が様々な可能性を掴める体制を整えていければと思います。私からは以上です。

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<<6日目 歳入各款 各特別会計の質疑>>

総括のような話になりますが、これまでの5日間、特に歳出を中心に予算が正しく使われてきたか、もっと効率化はできないか、事業の在り方に問題はなかったかなどを中心に質疑させて頂きました。しかし、単に行政の効率化や予算の削減を追求するだけでは「行財政改革」は達成されません。区長が強調する「行財政改革」の一環としての「稼ぐ区役所」は、我が会派もその重要性を認識しております。

そして、近隣の自治体と競り合うこんにち、「稼ぐ区役所」になるためには、北区が「住みたくなる、そして住み続けたくなる区」となるための取り組みを行い、担税力のある人や企業を惹きつける必要があります。

北区の魅力を高めるには、観光施設や文化イベントだけでなく、安全性、教育、福祉、地域経済といった多面的な要素が重要です。例えば、先進的な教育プログラムや学校施設を充実させることで、子育て世代にとっての魅力を高め、新たな住民を引きつける力となります。また、若者が新たに移住したくなるような環境を作る事業、例えば起業支援や文化・アートイベント、駅前施設の充実なども、地域社会の活性化と持続的な発展に寄与するでしょう。これらの事業は、区民の「生活の質」を向上させ、北区自体の「競争力」を高めます。これにより、「都市間競争で勝てる北区」、「稼ぐ区役所」も自然と実現できると考えます。

ここで質問です、令和4年度において、担税力のある人や企業を惹きつけるために、どのような分野に集中投資したといえるでしょうか?

→子育て支援策:保育所の待機児の解消。
シティプロモーション:子育て世帯を中心とした層に選ばれる北区。
主要駅周辺の街づくり:本格的な動き。王子、東十条のガイドライン策定。
企業向け:創業支援施設ネスト赤羽 政策決定 令和6年度に施設をオープンさせる

ご回答ありがとうございます。そして、この決算を見る限り、前体制は「稼ぐ区役所」だったと言えたのかどうかも確認したく思います。この質問は、前体制の成果を明確に理解し、今後の行政運営に活かすためにも重要な点だと考えます。あらためて伺いますが、今回の決算から前体制は「稼ぐ区役所」といえたと評価しているのか、言えない場合、どの点で足りないと考えているのか、理由と共にお示しください。

→自主財源の確保に難しさがある。財政対応力に課題が。経営改革プラン、一定の財源確保に取り組んだ。今後の山田区政について、歳入確保、公民連携、基金の運用、積極的特定財源獲得、遊休施設をしていきたい。

 ご丁寧な回答、ありがとうございます。これからの歳入についてもお伺いします。様々な歳入はございますが、基本は税収であり、やはり担税力のある住民や企業を惹きつけることが重要だと考えます。

近隣自治体、例えば足立区、板橋区、川口市などと比較した場合の北区の競争優位性と、それを伸ばしていくためには具体的にどの分野での事業が特に必要だと考えているのか、区の見解を伺います。

→競争優位性:交通が便利、自然環境が豊か。
駅周辺の街づくり(東十条、赤羽台、十条、王子、赤羽東口)、基本計画の検討、子ども子育て、シティプロモーション、公民連携が特に必要。

1日目の総括質疑では、他会派から、山田区長の仰る「稼ぐ区役所」について、具体的にどのようなものかの質問が複数回ございました。その回答として、未利用資産の売却・貸付などが挙げられました。今度はミクロな視点から、令和4年度の資産の有効利用による、歳入も見てみましょう。

例えば、歳入・土木手数料の、駐輪場の定期利用に関してです。少し細かいケースとなりますが、数年前より長期間とある区内の駐輪場の現場で、一見すると駐輪枠が空いているように見える場所があったと住民の目撃証言がありました。その目撃証言をした住民曰く、何度問い合わせしてもその場所をなかなか借りられなかったそうです。そして、最近になって、ようやくその場所を借りることができるようになったとのことです。

このケースでは、一見使われていないように見えても、実は別の定期利用者がいたと考えられます。しかし、もし、実際に空いていたのであれば、新たに定期利用したい住民にとっては定期利用の機会を得られない状態であったといえますし、また駐輪場にとっても稼ぐチャンスの喪失に繋がっていたと言えます。

令和4年度において、有料自転車駐輪場の定期利用の空き状態が分かるよう、何か施策はされていたでしょうか?利用希望者にとって分かりやすく、マッチングしやすい体制であったかを問います

→新型コロナ5類になったので、駐輪場利用の問い合わせが増えている。ホームページから分かりやすく案内できるよう指定管理者と協議していく。

ありがとうございます。駐輪場に限らず、利用者目線で使いやすさに配慮し、しっかりと使用料を積み上げて頂ければと思います。

教育使用料として、博物館観覧料についてもお伺いします。ドラマの影響で令和3年度に盛り上がった大河ドラマ館は、来場者数のピークは過ぎてしまったようです。一方で、平成30年より確認してみたのですが、令和4年は飛鳥山博物館の常設展の有料観覧者数が13,858人、前半はコロナ渦から抜け切れていなかった年であったにも関わらず、この5年間でなんと一番多かった模様です。

令和4年度の飛鳥山博物館の特に何が来場者の心を掴んだと思われるのか、その分析内容をご教示頂ければと思います。

→企画展にて、食といった身近なテーマを扱ったのが要因と考えられる。

博物館の本来の業務は資料の収集、保管、研究、教育であるということを前提としてはおりますが、私としては、来館者にお金を落として頂くというのも重要な役割ではないかと思っております。これは維持管理費を賄う側面もありますが、飛鳥山に文化的価値を見出してくださる人がいらっしゃることの、一つの指標になるのではないかと思っているからです。飛鳥山の文化的側面を活かし、新紙幣発行イベントにきちんと備えて頂ければと思います。

国民健康保険に関わる質問です。

国民健康保険に関わる区民健康診査について、予算執行状況が低い状態でした。コロナ渦の影響はあったので執行率の低さは致し方ない部分もあるかと思います。しかし、令和4年は、よりコロナがひどかった令和2年、3年と比較したとしても執行率が低いです。この原因について伺います。

→コロナ渦が収まってきたので令和元年基準に引き上げたが、見込みが外れた。被保険者の減少。

被保険者の減少とのことですが、区としても啓発活動をすべきかと思います。

以上、本日の質問を終わります。ありがとうございました。

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<<7日目 補足質疑>>

総務費ホームページのAIチャットボットについて、補足質疑として深堀させてください。先日、AIチャットボットに対する認識をお伺いしたところ、複数自治体でも利用されているものであり、他自治体と比較して極端に悪い訳ではないというご回答を頂きました。ただし、先日も申し上げたとおり、アンケート上ではユーザーからの利用満足度は低い状況でありました。この満足度の低い状況について、どのような原因があるとお考えでしょうか?また、この状況の改善に何か手を打った或いは打とうしたのかもご教示ください。

→レポートの統計状況、アンケートに基づく修正をしている。選択のアンサー充実化、チューニングをしている。

ご回答ありがとうございます。ユーザー目線で事業を進めて頂きたく思います。チャットボットについては、職員視点では業務効率化に一定の貢献をしているとも仰っておりました。実際、このチャットボットによって、どのような業務が削減され、時間にしてトータルでどのぐらいの作業量が軽減されていたのでしょうか?また、メンテナンスとしてデータを収集整理して食わせる業務も発生していると思われますが、それを考慮した上でも、業務負担軽減となっているといえるかどうかご教示ください。

→電話・メール窓口対応業務が軽減。1分1件と仮定すればひと月319分。メンテナンス業務も発生している。

総括質疑でも、DX化によってどのぐらい効率化されたのかという質問をしましたが、事業数を回答頂くなど、具体的な量が少し見えづらい回答でしたので、本事業に絡めてこのような質問をさせて頂きました。

チャットボットはCIO補佐官の助言を受けている事業だと、先日の答弁で伺っております。CIO補佐官は利用満足度の実態を把握しており、運用状況についても何らかの助言をされているという認識でよろしいでしょうか?

→アンケート満足度を報告している。正確性をと助言をいただいている。

インターネット上に記載されているプロフィールや本を拝見しましたが、CIO補佐官は素晴らしい経歴の持ち主ですね。北区におけるDX周りの課題は沢山ございます。システムの標準化、区長も力を入れようとしている防災DX、しごと連携担当課の本格始動、(先ほどふるた議員が言及したICTを活用した通報システム・)我が会派が訴えているLINEの改善、インフラの増設・運用など、枚挙にいとまはありません。ぼんやりしている余裕もないでしょう。頻繁にCIO補佐官とコミュニケーションを取り、是非ともその知見を区政にフルに役立てて頂ければと思います。

以上で補足質疑を終わります。

<<討論>>

日本維新の会北区議員団を代表し、令和四年度一般会計歳入歳出決算並びに三特別会計歳入歳出決算に賛成の立場から討論をいたします。

北区の令和四年度決算および各事業におきまして、慎重に精査させて頂いた結果、全体的な執行について、大きな誤りはなく、違和感を覚える事業もございませんでした。また、執行できなかった事業、当初の需要見込みを外してしまった事業等も複数存在しますが、コロナ渦からコロナ明けへの過渡期であり、誰にも予見できない事柄と考え、一律に区政の機能不全であるとは言い切れず、今回厳しく指摘するものではありません。

ただし、各事業の状況を細かく確認していくと、粗が見える点はどうしても否めませんでした。目標設定が曖昧なまま進められている事業が複数見受けられたのです。ターゲットが曖昧なまま制作が進んでしまい効果検証もされていないコンテンツ、大きな流れに巻き込まれた形で導入が進められたインフラや補助事業などです。

これらの事業について「5W1H」のいつ、どこで、だれが、なにを、どうして、どのようにまでは決めていましたが、予算策定時、及び執行の段階において「S・M・A・R・T」通称スマートと呼ばれる考え方が不足しているように思われます。

この場にいらっしゃる方の中にもご存じの方は多いとは思いますが、SMARTとはPDCA-Gという言葉と同じように、民間の研修会社やビジネス本でもよく取り上げられるフレームワークの1つです。

SMARTのSはSpecific(具体的に)のS、Measurable(測定可能な)のM、Achievable(達成可能な)のA、Related(経営目標に関連した)のR、Time-bound(時間制約がある)のT。このうち、特にSpecific(具体的に)とMeasurable(測定可能な)の部分については、コンテンツを作成する事業などで、答弁が弱かったものもございました。

日本維新の会は、常日頃から民間感覚の導入を訴えております。それに対し、「役所の仕事は、公共性という観点で、民間とは違う部分もある」とのお言葉も頂くことは確かにございます。そういったお考えがあるにしても、民間で培われている効率的な業務手法は、公的な業務でも役立つものがあり、積極的に取り入れるべきだと考えます。

また、区内の需要を把握していないまま、見切り発車で開始されている印象を持たせる事業も複数ありました。調査結果がでなければ動けないという硬直しすぎな体制よりは柔軟で良いかと思いますが、大規模な予算がつく事業に関しては、きちんと北区の実態の調査をし、効果的に動いて頂くことを要望します。

致命的な問題が生じているわけではないため、これらをもって反対とはしませんが、あらゆる事業に対し、丁寧に考え抜いた上で企画立案をし、区民からお預かりしたお金を適切に使って頂きたいと思います。

 山田新体制に変わり、仕事のあり方、事業のあり方が、本質的な意味で変わることを我が会派としても主導していく決意とともに、令和四年度北区一般会計決算並びに三特別会計決算に改めて賛成の意を表明します。

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