荒川下流河川事務所を視察してみた

北区といえば、一級河川の荒川が流れております。この荒川を監視している、荒川下流河川事務所を阿部衆議院議員と、先週視察して参りました。

【1】荒川ってどんな川?
その名のとおり荒ぶる川であり、たびたび氾濫を起こした荒川は、本来、もっと東側を流れる川でした。1911年(明治44年)以降、何度も行われた治水工事により、川そのものが現在の位置に移動した「人工の川」、いわゆる「放水路」となります。この治水工事により、関東平野で人が住める地域が広がり、東京は発展しました。1930年に荒川放水路が完成して以降、荒川流域で洪水被害は起きておりません。

荒川周辺の土地は、下記写真のとおり、荒川よりも低いところに位置しており、堤防によって維持されております。下記写真の赤い線が海抜0mとなっております。水は高いところから低いところに雪崩打つわけであり、もし今この瞬間にこの堤防がなくなれば、周囲が大変なことになるのが一目瞭然ですね。

【2】荒川下流河川事務所って何をしているの?
荒川下流河川事務所は、国土交通省の管轄下にある組織です。主な仕事は2つです。
・荒川の監視
・荒川の工事

監視について、北区志茂にある荒川治水資料館アモアの上階に、監視室があります。大型台風や大雨が予測されるたびに、事務所の職員が張り付いて監視をし、周辺自治体に情報を提供します。自治体はその情報を基に、災害対策を行うこととなります。基本的に荒川の監視や情報提供が河川事務所、その他全般、つまり避難計画の策定や準備・避難誘導や避難所の対応などは自治体が中心となって行うよう切り分けがされています。

工事については、現在、京成本線荒川橋梁架替事業荒川第二・三調節池の整備が進められています。特にさいたま市や川越市など進められている後者の整備が進むと、荒川の氾濫リスクが格段に下がるとのことです。

【3】令和5年6月の台風2号の教訓を活かして
6月の台風2号においては、周辺住民の皆様は水害に対して、大変心配をしておりました。6月の「令和5年第2回東京都北区議会定例会」におきましては、下記のような一般質問をさせて頂きました。

安達:6月に相次いで発生した台風や雨への対応、大変お疲れさまでした。区民からは、改善の指摘や感謝の言葉など、様々な声が寄せられています。改善点について、私が見聞きした範囲で、住民の意見を述べさせて頂くと次のとおりです。「避難所へ行ったが、張り紙などの案内が見つからず、入り口がどこか、どうやったら入れるのか分かりづらかった」、「真夜中の暗い時間に、雨が酷く外に出られない状態で、避難所開設の告知をしても、高齢者は避難しづらいのではないか」、「岩淵水門のライブカメラをスマートフォンで見ようとしたとき、チャットボットが邪魔で操作性が悪い」といった内容です。一方で、深夜に避難所での受け入れや倒木の対応には感謝の言葉がありました。まずは、6月に相次いで発生した台風や雨への対応について、総括を頂ければと思います。

理事(意訳):改善すべき課題があると認識できた。今回の経験を経て、警戒レベルの段階に関わらず、時間帯を考慮したうえで、避難場所の開設を判断するように、分かりやすい案内になるように検討する。なお、岩淵水門のライブカメラについては、所管する淡川下流河川事務所に伝える。

⇒8月の台風7号においては、北区では重大な被害は起きませんでしたが、台風2号の経験から8月14日の15時台という明るい時間に区内で早期避難所が開設されました。またライブカメラのサイトも改善されておりました。

今後も住民の皆様のご意見を反映しつつ、命を守れる街を作っていきたく思います。また、防災面だけではなく、荒川周辺の環境を整え、魅力のある街づくりをしていきたいと考えております。

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