おひとり様の老後、孤立社会のエンディング対応

私は、未婚化問題に真剣に取り組んでいこうとは思っていますが、それと同時に、結婚をしなかった・できなかった人への真摯な対応も必要だと考えます。自ら選んで結婚をしない人は、パートナー持ちの人や子育てに翻弄されている人と比較するとゆとりのある生活を謳歌している人も確かにいらっしゃいます。しかし、歳を取ると一人でいることに寂しさを感じる人も増えるようです。

また、既にパートナーがいらっしゃる人でも、相手に先立たれてしまうと一人になってしまうこともございます。子どもがいらっしゃる方でも、独立してしまい、身近にいなくなることもあるでしょう。

結局のところ、今現在がどのような家族形態であっても、老後おひとり様となって孤立・孤独になるケースは想定しなければなりません。

和光市など一部の自治体はきめ細かく高齢者の実態を把握し、万が一が起きても、安心安全な対応を整えているようですが、一般的な自治体はそこまで丁寧に高齢者の孤立の実態を把握しきれていません。生活保護になって初めて、丁寧に対象者の実態を調査しようとすることでしょう。

そして、万が一が起きてしまった後、自分の処遇や財産の管理についてどうするかという課題もあります。特に北区に居を構えている人は、「北区で最期を迎えたい」等意見を持っている方もいらっしゃいます。そのほか、自分の処遇や財産に何らかのご希望・要望を持っている方もいらっしゃるでしょう。
通常、そういった場合、「成年後見制度」を利用するのがひとつの手です。これは、認知症などにより判断能力が不十分となった方に代わって、後見人が本人の財産管理や契約締結をする制度なのです。

しかし、成年後見人制度は、非常に使い勝手が悪いのです。一般的に後見人は、ご家族を指名することが多いのですが、天涯孤独の方は弁護士や社会福祉士などの専門家に依頼することもあります。後者の場合、年間に多額の金銭の支払いが発生するほか、一度締結してしまうと簡単に変えられないという問題も発生するのです。また、定期預金の解約制限や不動産のやり取りにも制限がかかります。自分の判断力が残っているうちに締結しておきたい制度ではありますが、自分の判断力が残っている間は非常に生きづらくなる制度です。国政における法制度の見直しについては、阿部司衆議院議員にお任せするとして、区政担当の私でもやってみたいことがございます。

エンディングノートのデータベース化です。これは横須賀市などで既に実現されている政策でありますが、その名のとおり終活で使われるエンディングノートを役所がデジタル管理するのです。これによって、万が一の病院対応、お墓の場所、相続の希望などが明確になります。特に救急治療が必要な緊急時に、迅速な対応も取れるのが最大のメリットです。

紙ベースで自宅のどこかに残しても良いのでしょうが、完全おひとり様の場合は、最悪ノートの存在を誰にも気づかれず、先祖代々のお墓の場所も把握されず、縁もゆかりもない場所に納骨場所されてしまうことすらありえるでしょう。

これから、様々な家族形態が増える一方、10年後には多死化社会を迎えることとなります。今はまだ緊急度が低いですが、火葬場や葬儀場、墓地の不足などの問題もやがて出てきます。死に真剣に向かい合う人も増えてくるのではないでしょうか?

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