少子化が叫ばれている昨今、2022年の日本の出生数は、前年より4万3169人少ない79万9728人となりました。当初の政府予測よりも数年早いペースで少子化が進んでおります。そして、この少子化の原因は何かといえば、「未婚化」にあります。令和4年版 少子化社会対策白書によれば、夫婦あたりに子どもの数は直近20年で大きくは減少はしていないものの、婚姻数および婚姻率の減少率の凄まじさが記述されております。そのため、真の「少子化対策」を考えるとなると、未婚化問題は避けては通れません。
東京都北区においても合計特殊出生率を2020年に1.35を目指すとかつて掲げておりましたが、その前年の2019年においては1.18であり、目標および予想以上の少子化が進んでおります。そして、その北区においては、未婚化が23区内でも著しく進んでいる状況です。国勢調査を基とする荒川和久氏の集計によれば、北区男性の生涯未婚率は39.5%であり23区内ワースト1位、女性も27.6%と23区内ワースト2位になっております。北区の未婚者の多さについて、原因は様々考えられますが、荒川氏の記事では家賃相場などから所得の低さを原因として挙げております。この辺りについては別の投稿で深堀させてください。
さて、北区民としては、そもそも結婚や子育てについて意欲はあるのでしょうか?「北区子ども・子育て支援総合計画策定のための区民意向調査報告書(速報)」によると、25~39歳の区民について、「自身にあてはまっている」として「結婚相手もしくは人生を共に歩むパートナーが見つからない」との回答が49.1%でした。また、「子どもを持つことについて」という問いに対して「今は子どもがいないが、将来は子どもが欲しいと思う」との回答が70.2%でした。
ライフスタイルの多様化、性の多様化、価値観の多様化などがあり、「結婚したくない・子どもは欲しくない」などと主張する若者が増えてはおり、そのような方々はご自身の人生を謳歌して頂ければと思います。一方で、北区においては、パートナーを求めている人、子どもが欲しい人はまだまだ沢山いらっしゃいます。このような方々の希望が通りやすくなれば、少子化問題は一気に解決の方向に進むのではないでしょうか?
子育て支援は当然大事ですが、ただ支援するだけでは、「現在お子さんがいらっしゃる家庭にもう1、2名産んでください」、「他の地域に住まないでうちの地域に引っ越してきてください」というメッセージだけに留まってしまいます。子育て政策で注目を浴びる明石市も、確かに全国と比較した場合、合計特殊出生率は高いし、人口は増えています。しかし、以下の「自然動態及び自然動態率」のとおり、出生数そのものは実はそれほど増えておらず、人口増は周辺地域からの転入による部分が大きいと指摘できるでしょう。周辺地域も子育て特化を追随すると流れは変わるのかもしれませんし、そうなった方が良いのでしょうが、現状で全国規模で見た場合は少子化対策というよりもただの移動に留まっています。
少子化対策には、子育て支援と同時並行で、未婚化対策を考える必要があります。具体案は近日書きます。