北区新年度予算に賛成した理由・概ね討論原稿R7年1定

「令和6年第4回東京都北区議会定例会」が閉会しました。今回は予算特別委員会の理事(委員)も務めさせていただき、新年度予算に対する審議をしました。結果として、日本維新の会北区議員団としては一般会計・三特別会計の予算案いずれにも賛成し、また、議会全体としましても、可決することになりました。なお、一般会計については、日本共産党、無所属(新社会党)、無所属(れいわ新選組)が反対し、組み替え動議がありました。私がなぜ賛成したかは討論という形である程度まとまっておりますので、こちらの概ねの原稿(予算特別委員会と本会議で2回討論を行った内容をミックスした形)を公表します。

なお、予算特別委員会は本来、予算案が正しいかを審査・審議する場だと認識しています。あれをやってくれ・これをやってくれというのは、程度問題で少しばかり言うのであれば問題はないでしょうが、私個人としてはそれが本筋だと思っていない(というか、基本的には晩秋頃に予算要望をする場で要望すべきものと認識している)ので、他の会派と随分違う形での意見表明となっているのをご了承ください。


また、この場で恐縮ですが、後日、区政報告会もやりますので、よろしくお願いいたします。
【日時】2025年4月19日(土)10:15~11:15 ※10:00開場
【場所】赤羽会館 第1集会室 東京都北区赤羽南1丁目13−1
【参加費】無料
【申し込み方法】リンク先にて

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日本維新の会北区議員団を代表し、まずは令和七年度東京都北区一般会計予算案及び三特別会計予算案に賛成の立場から討論させていただきます。

予算特別委員会初日、総括質疑の一問目に、「事務事業評価をより実効性のあるものとし、事業の縮小・廃止を含めた見直しを行うための明確な基準を設けるべきと考えますが、見解を伺います」と区長に質問しました。
その際に区長からは、EBPM(政策の企画を政合理的根拠に基づくものとすること)に基づく政策立案を重視する一方、基準は一律とするのが難しい旨の答弁がありました。我々は常に、区民の生活向上に資することを前提とした上で、数値とエビデンスに基づく区政運営を求めております。そこで、今回は特に事前に資料要求したデータも参考にしつつ、事業ごとに数字や目標設定を厳しく精査しました。その結果、今回の予算案には評価すべき点と改善を求めたい点の両方が見られました。

まず、予算案で評価すべきポイントを三点挙げます。
一点目は、効果の乏しい事業を廃止し、新たな施策へ転換する財政規律の姿勢です。具体例として、貸付型奨学金がほとんど利用されていなかったという数字的根拠で廃止し、北区の人口動態データに基づいた奨学金返済支援給付事業へと転換している点が挙げられます。このような決断は、限られた財源を効果的に配分するという財政規律の観点から極めて重要で高く評価します。

二点目は、複数の事業において数値目標に対する着実な進展がみられたことです。例えば、環境ポータルサイトは、私がアクセス数の低さを指摘した後、着実に成長し、施策の中核になりえるまで進化しました。デジタルデバイス活用推進事業でも明確な目標講座数が設定されています。このように、明確な数値目標とその検証プロセスは、行政の透明性と説明責任を高める上で不可欠であり、今後もあらゆる事業においてこの姿勢を貫いていただきたいと思います。

三点目は、科学的・実証的な政策立案プロセスの採用です。移動販売実証実験やデマンド型交通実証実験は、本格実施前の無駄を省き、効果的な施策展開を可能にします。「やってみなければわからない」ではなく、小規模での検証を経て段階的に拡大する戦略的なアプローチは、区民の税金を預かる行政として適切であり、今後の政策立案の標準として定着させるべきです。

一方で、改善すべき課題も指摘させていただきます。
第一に、目標設定で、具体的な数字を示せていない事業が見受けられる点です。生成AIの庁内活用のような事業は理念的には素晴らしいですが、業務時間縮減等の具体的効果が示されていません。「SMART」の原則―具体的、測定可能、達成可能、現実的、期限付き―に基づいた目標設定が全事業で徹底されるべきであり、これは限られた予算で最大の区民福祉を実現するための基本原則です。
第二に、導入後の運用計画の不足です。オンライン学習サービスのように、単に導入するだけで関係者に有効活用されない可能性のあるサービスが見受けられます。導入後の運用体制や利用促進策、改善のためのフィードバックループ確立など、成果志向の行政運営が全事業で求められます。

これらの指摘事項は、運用計画を深めることで充分にカバーできるものであり、予算額の変更の必要はございません。よって、令和八年度予算策定においては、各事業の目標設定がより明確化されることを前提として上で、令和七年度東京都北区一般会計予算案及び三特別会計予算案に賛成の立場を取らせていただきます。

次に、令和七年度東京都北区一般会計予算の組替えを求める動議に反対の立場から討論いたします。

今回の組替え案は、財政調整基金から約三十億円を取り崩し、低所得世帯や家計急変世帯へ物価高騰対策臨時給付金を支給することが主な内容となっていると考えます。一方で、区は、今年に入って既に北区エネルギー・食料品等価格高騰支援給付金の給付を開始しております。さらに今年度に引き続き新年度案でもデジタル商品券「しぶさわくんPay」等の事業が提示されており、一定程度、物価高騰対策のカバーをしていると考えます。

そして、組み替え案の財源ですが、財政調整基金繰入金を歳入として提示しています。現在、北区においては、特に建築コストの高騰により、北とぴあの改修計画見直しや入札不調が発生しています。新庁舎建設、学校改築等の基金は別途設けられてはいますが、今後の更なる物価高騰を考えるとまだまだ足りず、直前になって急に捻出できる金額ではありません。将来的には、財政調整基金にも影響を及ぼす可能性があります。また、今後、何かしらの減税施策が国会で決まった場合、大幅な歳入減の可能性も否定できません。それらの事態に備えるためにも、差し迫った入札不調のやむない対策を除き、現時点では、基金の積極的取り崩しは危険ではないかと考えます。

なお、今回の組替え動議の中で挙げられている教育費の負担軽減は、学用品費の無償化など、我々日本維新の会北区議員団からも要望しています。しかし、我々の考え方としては、品川区のように、あくまでも事業の見直しによる財源捻出を前提としており、基金を取り崩すことを前提としたやり方とは異なります。

そもそも行政側が基準や対象を決めて給付をすることに対し、税金を取ってから配るのではなく、取る前に減税をしてほしいという区民の声もあがっています。特に昨年後半からは、現役世代やインターネット上から、減税を求める声が特に大きくなっていると感じられます。税金の使途に対する区民の目は年々厳しさを増しているといえるでしょう。そういった声も鑑みると、いたずらにばらまきを増やすことには賛同しかねます。

よって、日本維新の会北区議員団は、令和七年度東京都北区一般会計予算の組替えを求める動議については反対を表明します。区民は自分の手取りをいかに守るかを考えるとともに、預けた税金や保険料の使い道に対してもより厳しい目を向けるようになっています。予算を作成する者、審議し賛成する者、修正案を提出する者には、これまで以上に重い責任が課せられていると言えると思います。以上で、討論を終わります。

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