- 2024-10-12
- 議会報告

10月4日に「令和6年第3回東京都北区議会定例会」が終了しました。決算特別委員会が当会派としては、聖域なき事業の見直しを訴えた上で令和5年度の決算を認定。その他の議案についても賛成しました。なお、今回の議案について、契約や指定管理者の継続などが多かったのですが、採決の直前に対象の指定管理者でサーバーセキュリティ関係のインシデントが発覚。何かしら議会で声を挙げるか悩みましたが、対象の事業が保育園の運営ということもあり、子ども達と職員の関係性を考慮し、今回は賛成させて頂きました。
さて、今回の定例会でも、本議会にて一般質問をさせて頂きました。一般質問には個人質問と代表質問がありますが、今回は代表質問という形式となります。会派全体の考え方を取り入れ、状況によっては決算特別委員会に繋げることを目的とした内容となっています。議場外で議事録には載らない役所側との雑談では、私の質問に対する答弁を考えるのが一番大変だったとのことです。
それでは、以下、その内容です。「⇒」は区長または教育長の答弁となります。
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日本維新の会北区議員団の安達しんじです。私は、会派を代表して、未婚化に焦点を当てた少子化対策について、子育て・教育環境について、まちづくりについて、外国人との共生について、高齢者・福祉施策について、スマートフォンやゲームの利用に関する規制についての6つのテーマで質問させていただきます。
はじめに、未婚化に焦点を当てた少子化対策について伺います。
様々な喫緊の問題に追われて、後回しにした結果、日本の少子化対策は手遅れになってしまったという声が上がっています。しかし、まだ社会増を続けている都内においては、諦めてはいけない問題です。少子化対策において、子育て支援や教育充実等の施策が重要であることは言うまでもありません。我が党も教育無償化を少子化対策の大きな柱に据えております。しかし、私は未婚化対策もまた、同様に重要な課題であると考えています。
全国調査によれば、18~34歳の未婚者の約8割が「いずれ結婚するつもり」と回答しており、若い世代の結婚への希望は依然として高いことがわかります。また、同年齢層の平均希望子ども数は、男性が1.82人、女性が1.79人となっており、これは現在の合計特殊出生率1.26を大きく上回っています。
この数字の乖離は、結婚や出産を望みながらも実現できていない潜在的なニーズの存在を示しています。つまり、未婚化対策を積極的に推進することで、結婚を望む人々の希望を実現し、それに伴って出生率を向上させる可能性が十分にあるということです。未婚化対策は少子化問題の解決に直結する重要な施策であり、これに注力することで少子化に進む状況から改善できると考えられます。
こうしたデータを踏まえ、繰り返しになりますが、私は未婚化対策にもっと注力すべきだと考えます。しかし、残念ながら現状、他の自治体はUターン施策のための婚活支援や安易な出会いの機会提供にだけ飛びつき実績が出ていないように思われます。未婚化は、原因が複合的に絡み合い、根深いものであるため、何かひとつの政策を行えば解決というわけではなく、複数の施策を中長期間に渡って実行することが大切です。そこで、北区においては、まずは、未婚化対策を考える協議体を設置し、当事者の声や専門家の意見を直接聞きながら、実効性のある施策を検討してはいかがでしょうか。
そこで区長に伺います。少子化対策全体における未婚化対策の位置づけや重要性について、区長はどのように認識されているでしょうか。また、未婚化対策を考える協議体の設置など、具体的な取り組みについてのお考えをお聞かせください。
⇒人口構成や社会経済環境による様々な要因が複雑に絡み合っていることから、広域的な課題であると認識。区としては、特に、未婚化に焦点を当てた少子化対策や協議体の設置は考えていないが、国や東京都の取り組みの周知に努めるとともに、当事者である若い世代の意見も直接伺いながら、就労や妊娠・出産への支援、子育て・教育施策の充実など、幅広い視点から実効性のある少子化対策を総合的に検討・実施していくことが必要と考えている。
次に、未婚化対策の具体的な施策について伺います。
東京都では婚活支援事業が展開されていますが、こうした事業への参加や、結婚を希望する人々の利便性向上のためには、行政側の環境整備も重要です。なかでも、官製であれ民営であれ、結婚相談所加入には独身証明書が必要であることから、行政側の支援の一環として、独身証明書の取得手続きの簡素化が挙げられます。
北区では、昨年度4月から9月までの半年間で147件の独身証明書が発行されており、一定の需要があることがわかります。しかし、現状の発行手続きには課題があると認識しています。
具体的には、既婚未婚のデータがシステム化されていないため、証明書発行の際には職員が戸籍と突合させる作業が必要となっています。また、郵送での取得を希望する場合、定額小為替の購入手数料や郵送にかかる時間など、利用者側の負担も少なくありません。さらに、婚活そのものをセンシティブなことだと捉える人もおり、独身証明書を窓口で受け取るのが恥ずかしいと感じる人もおります。
そこで区長に伺います。独身証明書の発行手続きの改善について、区としてどのようにお考えでしょうか。特に、電子決済を活用した「行かない窓口」の仕組みの構築など、具体的な改善策をお持ちでしたらお聞かせください。また、将来的にはコンビニ発行なども視野に入れるべきだと考えますが、そのためには既婚未婚のデータのシステム化が必要不可欠です。このような基礎的なデータ整備について、区としてどのようにお考えでしょうか。結婚を希望する区民の方々の利便性向上は、未婚化対策の一助となり得ます。行政手続きの簡素化・デジタル化を通じて、区民サービスの向上を図るべきと考えますが、区長の見解をお聞かせください。
⇒戸籍証明書のコンビニ交付の対象拡大や本年12月導入予定の「書かない窓口」の運用など、実現可能な取組みから順次、対応を進めてきた。独身証明書を含む各種証明書の電子決済の活用など、さらなるデジタル化の取組みについては、引き続き、他自治体の先進事例なども参考にしながら、区民サービスの向上と、職員の業務効率化に資する対応を検討する。
次に、子育て・教育について伺います。はじめに、熱中症対策としての屋内遊び場の整備について質問いたします。気候変動に伴う猛暑の常態化により、足立区のギャラクシティ、神奈川県大和市のシリウスのような小学生以上の子どもたちの安全な遊び場の確保は喫緊の課題となっています。区は以前、運営企業の誘致について「今後の大規模改修を行う公共施設においてなど、行政需要等を十分に見極めながら、その可能性について検討する」と答弁されました。しかし、気候変動の加速度的な進行を考えると、より迅速な対応が求められると考えます。
そこで、次の4点について区の見解を伺います。第一に、屋内遊び場整備の具体的なタイムラインは検討が進んでいるのか伺います。次に、大規模改修を待たずに、既存施設の一部を改修して屋内遊び場として活用する可能性についてです。迅速な対応のためには、既存施設の有効活用も一案だと考えますが、区としてはどのようにお考えでしょうか。また、民間企業との連携についても伺います。我々としては、子どもの遊び場確保にも公民連携は一つのやり方だと認識しています。公民連携をする場合、区としては、どのような業種や企業を想定し、どのようなアプローチを考えているのでしょうか。最後に、屋内遊び場整備に関する区民ニーズの調査についてです。これまでにどのような調査が行われ、その結果はどのようなものだったのでしょうか。また、屋内遊び場に特化した調査の実施予定はあるのでしょうか。子どもたちの安全と健康を守るため、屋内遊び場の整備は急務です。区として、具体的かつ迅速な対応策を示していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
⇒近年の夏の猛暑の常態化により、熱中症対策など安全面への配慮は、子どもたちの健全な発育のうえで必要不可欠であると考える。一方で、新たな屋内遊び場の整備については、大型の施設整備が可能な敷地の確保等の課題がある。また、子育て・教育環境に限らず、様々な行政需要がある中では、既存施設も含め、限られた資源を重点的かつ効果的に活用する観点から、官民の役割分担も踏まえつつ、行政が提供すべきサービス・事業の優先順位を見極める必要がある。したがって、施設の整備については、現段階では具体的な検討には至っておりませんが、引き続き、行政需要等を十分に見極めるとともに、熱中症対策など安全面への配慮については、「わくわくひろば」やティーンズセンターなどの屋内施設の有効活用及びその周知に努める。
また、民間企業との連携については、公共施設の大規模改修や、まちづくりの進展に合わせた公共施設の再配置など、敷地を確保したうえで、施設整備を具体的に検討する段階において、最適な手法を検討し、優れた事業提案を行う企業を選定するものと考える。
なお、区民ニーズ調査については、本年3月に策定した「北区子ども・子育て支援総合計画2024」の検討に際して区民意向調査を実施した。その中で、屋内遊び場設置に関する意見があったことは認識しており、今後、同様の調査をする際には、設問の一つとして盛り込む。
次に、学校プールの管理について質問いたします。
近年、教員の働き方改革が喫緊の課題となる中、学校プールの管理業務が教員の大きな負担となっているとの指摘があります。実際に、プールの給水停止を怠ったことで多額の水道料金を教員が賠償する事例も発生しています。
こうした状況を踏まえ、文部科学省は本年7月10日付で「学校における働き方改革に配慮した学校プールの管理の在り方について」という通知を出しました。この中で文科省は、プール管理業務に関する教員の負担を軽減するため、指定管理者制度の活用や民間業者への委託等を通じて教員の負担を軽減することを推奨しています。
また、他自治体においても、プール管理の外部化が進んでいます。例えば葛飾区では、令和2年度に「今後の水泳指導の実施方法に関する方針」を策定し、学校プールの維持管理を民間事業者に委託する方針を打ち出しました。目黒区でも本年3月に「目黒区立小中学校におけるプール施設整備の考え方」を策定し、プール管理の民間委託等を検討しています。
さらに、文科省通達は自動で給水を止めるためのシステムの導入も提案しています。しかし、横浜市や川崎市などでは、清掃を予定していた、あるいは、停止装置が電源を落としていたといった理由のために、自動止水装置を設置していても機能しなかったという事例も報告されています。このことは、単に装置を導入するだけでは不十分であり、適切な管理体制が不可欠であることを示しています。
そこで伺います。北区においても、教員の負担軽減の観点から、学校プールの管理について指定管理者制度や民間委託の活用を積極的に推進すべきと考えます。その際、自動停止装置等の導入も検討しつつ、それらが確実に機能する体制づくりも含めた総合的な管理方式の構築が必要と考えますが、区長または教育長の見解をお聞かせください。
⇒水泳指導において学校外施設を利用することは、天候に左右されない計画的な水泳指導が出来るだけでなく、プール管理業務を担当する教員の負担軽減につながると考える。一方で、移動時間による他の授業への影響、安全な移動手段や授業を安定的に実施するための委託先の確保等、様々な課題もある。区立小中学校では現在、授業としての水泳指導は概ね予定通り学校内で実施出来ており、現時点では民間委託等の計画はありませんが、引き続き、国や東京都の動向を注視しつつ、他自治体の取組みについても研究する。
複層的なチェックの徹底、給排水の機械操作の研修実施、マニュアル作成・更新等を通じて、校内の適切な管理体制を構築する。なお、自動停止装置は学校改築の機会を捉えて、順次導入をしており、引き続き設置を進める。
次に、いじめ重大事態の公表について質問いたします。
いじめ問題は、子どもたちの健全な成長と安全な学校生活を脅かす深刻な課題です。特に重大事態については、その調査と対応が極めて重要です。文部科学省で2017年に制定され、2024年8月に改訂されたばかりの「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」においても、改定前から引き続き、調査結果の公表について「特段の支障がなければ公表することが望ましい」としています。
実際、令和4年度の全国のいじめ重大事態の発生件数は923件、そのうち東京都では85件、北区では4件発生しています。これらの事案に対し、適切な対応と情報公開が求められています。
こうした中、大田区など一部の自治体では、いじめ重大事態の調査結果を原則公開とする方針を打ち出しています。大田区の「いじめ重大事態の調査結果の公表に関するガイドライン」では、関係当事者に不利益が及ばないよう配慮しつつ、児童等の人格を傷つけたり健やかな成長を阻害したりしない範囲で公表するとしています。
しかしながら、北区では現在、いじめ重大事態の公表に関するガイドラインが策定されていません。この点について、区民からも策定を求める声が上がっています。
私は、いじめ重大事態の調査結果を原則公開とすることで、調査報告の質の向上が図られ、ひいてはいじめの予防にもつながると考えます。もちろん、プライバシーへの配慮は必要不可欠ですが、それを前提としたうえで、可能な限り情報を公開することが、学校や教育委員会の説明責任を果たし、保護者や地域の信頼を得ることにつながるのではないでしょうか。
そこで伺います。北区においても、いじめ重大事態の公表ガイドラインを早急に策定すべきと考えます。そのうえで、非公開よりも原則的には公開する方針を打ち出すべきと考えますが、区長または教育長の見解をお聞かせください。また、公開する場合、いつ頃から公開できる状態になるでしょうか。
⇒文部科学省が定めるガイドラインにおいては、重大事態の公表にあたっては、事案の内容や重大性、被害児童生徒・保護者の意向、公表した場合の児童生徒への影響等を総合的に勘案して、適切に判断することとされており、いじめを受けた子どもやその保護者の心情や意向を十分に踏まえて対応する必要がある。このため北区においては、基本方針に加え、国のガイドラインに基づき、重大事態の公表にあたっては、被害者児童生徒・保護者の意向を十分に踏まえた対応を行っている。
こうしたことから、教育委員会として、いじめ重大事態の公表については、適切に対応していると考えておりますが、現在、国において新たなガイドラインの策定に向けて検討が進められており、今後の基本指針の改定にあたっては、これまで通り、公表に関する考え方も含めて検討する。
次のテーマとして、まちづくりに関して4問質問いたします。
北区では、「集合住宅の建築及び管理に関する条例」が設置されています。この条例は、多様な世帯構成に配慮した住環境の整備を目指し、一定戸数のワンルームがあるマンションを建設する際にはファミリー向けの部屋も確保することを求めています。しかしながら、住戸の小規模化が進む中、子育てのしやすい環境を整えるには、こうしたハード面の規制だけでは不十分ではないでしょうか。
特に、マンション内のコミュニティ形成や住民同士の交流促進という観点からは、さらなる取り組みが必要だと考えます。大阪市西区では行政がマンション集会室において子育てサークルの運営の支援を行い、東京都墨田区では「すみだ良質な集合住宅認定制度」で居住者間自主活動経費補助をするなど、行政によるコミュニティ支援は珍しいものではありません。
現在の北区では、マンション防災マニュアルの策定など、防災方面ではマンション内のコミュニティ形成について発信をしておりますが、その他のコミュニティについては支援する施策が不足しています。住民同士の交流が希薄化すれば、地域への愛着が薄れ、定住意識の低下にもつながりかねません。また、子育て支援強化の観点からも、住民が交流できる機会を増やすことが重要です。
そこで区長に伺います。北区として、集合住宅内のコミュニティ強化にどのように取り組んでいくお考えでしょうか。また、新たに建設されるマンションに対して、コミュニティ形成を促進するような設計や運営方針を奨励する施策についてはいかがお考えでしょうか。区長の見解をお聞かせください。
⇒区では、より一層質の高いまちづくりを推進するため、「東京都北区 集合住宅の建築及び管理に関する条例」を定め、マンションの適切な整備を誘導している。この条例の中では、懇親会や交流会、住民総会等の開催が可能な多目的室を、住宅の計画戸数に応じた広さの規模で整備するよう求め、居住者間の親睦を促している。
また、新たに建設される集合住宅が、地域コミュニティの形成に資するよう、町会・自治会への加入等への協力を、建築主や所有者等を通じ求めている。
区道の路面状況についても伺います。
区内を歩いていると、区道全般の路面状況について、凹凸(おうとつ)やつぎはぎが目立つと感じることがあり、一部住民からもご指摘を頂いております。フリップをお願いいたします。(事務局の方、掲げる)

つぎはぎだらけや凹凸、ひび割れなどの一例として、こちらの写真をご覧ください。こちらは、赤羽南にある路面を撮ったものです。フリップありがとうございました。(事務局の方、おさげください)
北区では現在、コア抜きによる検査や、施工プロセスごとに写真記録、出来高に対する実地検査をするなど、品質管理にも努めていると認識しています。しかしながら、こうした取り組みにもかかわらず、路面状況悪化が発生しており、その原因として、次のような可能性が考えられます。
1. ガス、下水、水道など随時行われる工事により、つぎはぎ状態になっている可能性
2. 仮復旧と最終的な舗装にタイムラグがある可能性
3. 経年劣化の影響
4. 予算配分の問題
5. 施工品質の課題
なお、施工品質の課題については、比較的新しく舗装された一部道路でも凸凹(でこぼこ)していると感じられるという声がありましたので、この場で述べさせていただきました。
そこで区長に伺います。区道の仮復旧と最終的な舗装のタイムラグ、経年劣化、あるいは工法など道路の維持管理について、現状どのような課題があると認識されていますか。それらの課題に対し、今後どのような改善策をお考えでしょうか。
より品質の高い道路を目指す上で、路面状況の維持管理について、他区と比較するなど調査研究を行う予定はありますでしょうか。
区民の皆様が安全に、快適に歩行できる道路環境の整備は、区政の重要な責務の一つです。路面状況の改善に向けた区の見解をお聞かせください。
⇒区道の維持管理について、日ごろから、安全で円滑な交通を確保するように努めているところだが、占用企業者の仮復旧舗装や経年劣化などで路面に部分的な凹凸(おうとつ)が生じることも認識している。そのため、現場の状況を確認し、事故の危険性がある場合は、緊急工事を実施している。また、事故の危険性が低い場合でも、5年に一度、舗装面の段差の識別、わだちの計測、路面の平たん性などを調査し、改修が必要な箇所を選定のうえ、道路工事を実施して、良好な路面状況の維持・改善を図っている。
なお、より品質の高い道路の維持管理につきましては、まずは他区の状況を確認・比較していく。
道路の照明のLED化についても伺います。
防犯灯は、夜間の犯罪抑止や通行の安全確保に重要な役割を果たしています。区内の公道における防犯灯のLED化は進んでいると思いますが、私道防犯灯のLED化については、今年の予算特別委員会でも指摘があったとおり、遅れております。
区内外問わず道路・公園などといった屋外空間には、旧来ですと水銀灯や蛍光灯などが使われておりましたが、既に製造や輸出入が中止・禁止されているもの、近年中に禁止されるものもあります。こういった事由からもLEDの需要はますます高まり、入手が困難になる可能性もあります。予算特別委員会では「区で実施している助成の範囲であれば、LED化の製品については十分確保できる」との答弁でした。しかし、依然として助成範囲外の部分については不安が残ります。
現在、私道防犯灯の管理は町会や自治会の負担となっています。また、北区には、私道防犯灯を設置するための補助制度があり、この制度の範囲内では、各町会や自治会が新設または改修する私道防犯灯は1年度に3基までとされています。しかし、志茂地区だけでも数百基の私道防犯灯のLED化が待たれています。そこで区長に伺います。私道防犯灯のLED化について、今後さらなる支援を行う考えはありますでしょうか。
⇒町会・自治会の私道防犯灯のLED化については、北区町会・自治会連合会からも、要望されており、既に補助制度のあり方の検討を行っている。
また、道路照明の管理で悩んでいるのは、町会だけなく商店街のLED街路灯も同様です。商店街環境の変化に伴い、LED街路灯のランプ交換の負担は、従来よりも厳しくなってきています。こちらにつきましても、インフラ的側面があることから区からの継続的支援が求められていることも併せて、この場で述べさせていただきます。
続きまして、公共空間の有効活用促進に向けた行政手続きの簡素化とデジタル化についても伺います。
北区には、魅力的な公共空間が数多く存在します。これらの空間を有効に活用することは、地域の活性化や区民の利便性向上につながると考えます。しかし、現状では公共空間を利用するための手続きが複雑で、時間がかかるケースも少なくありません。
そこで、公共空間の有効活用を促進するため、行政手続きの簡素化とデジタル化について、以下の2点を提案いたします。
1点目は、河川敷地占用許可や道路占用許可等の申請手続きのワンストップ化です。現在、これらの許可申請は個別に行う必要があり、利用者にとって大きな負担となっています。そこで、これらの申請をまとめて行えるポータルサイトを構築し、一度の手続きで必要な許可を取得できるようにすることを提案します。
2点目は、後援申請のデジタル化です。山形県酒田市では、イベントなどへの後援申請をオンラインで受け付けるシステムを導入し、申請者の利便性向上と行政の業務効率化を実現しています。北区においても、こうした先進事例を参考に、後援申請のデジタル化を推進すべきではないでしょうか。
区長に伺います。まず、河川敷地占用許可や道路占用許可等の申請手続きのワンストップ化について、区のお考えをお聞かせください。また、後援申請のデジタル化について、区としてどのようにお考えでしょうか。
⇒河川や道路の占用許可申請などのワンストップ化については、北区にとどまらず、国や東京都など各行政をまたぐ申請となり、非常に困難であるほか、交通管理者との書類のやり取り、また占用料の納付方法などの課題があると認識している。現時点では、申請をまとめて行えるポータルサイトは考えていないが、今後、先進自治体による公共空間の有効活用促進に向けた行政手続きについて調査する。
後援申請のデジタル化につきましては、現在、区内の全庁的な行政手続きのデジタル化に取り組んでいるところ。酒田市をはじめ、他自治体の取り組みを参考としながら課題の整理に努める。
なお、本質問において、友好都市である山形県酒田市の事例を述べさせて頂きました。酒田市は7月の大雨で被害が出ました。私も8月に泥かきなどのボランティアをさせて頂きましたが、現場は大変な状況でした。引き続き、酒田市にあたたかな支援を求めるとともに、日本各地で増加している豪雨被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。(酒田市支援については、酒田市と関わりの深い佐藤こと区議に、質問を託しました)
次のテーマとして、外国人住民との共生について伺います。
まず、役所窓口における外国人対応の強化についてお伺いします。近年、北区に居住する外国人住民が増加傾向にある中、多言語対応の重要性が高まっています。現在、区では通訳クラウドサービスを導入し、タブレットを使ったテレビ電話による三者間通話を実施されていると伺っています。戸籍住民課など複数の課で活用され、年間約500件の利用実績があるとのことです。また、ポケトークを3区民事務所に配置し、簡単な通訳に活用できる体制となっていることを評価いたします。
しかし、外国人住民のさらなる増加や多様化に備え、より一層の対応強化が必要だと考えます。特に、本年12月に導入予定の「書かない窓口」の推進は重要です。書かない窓口は、デジタル文字を活用することで、文字が読みやすくなり、職員負担が減ることもメリットではあります。そして、このシステムは、できる限り多言語に対応することが望ましいと考えます。
そこで区長に伺います。役所窓口における外国人対応の強化について、現在の取り組みをさらに発展させ、多言語対応をより充実させていく考えはありますでしょうか。特に「書かない窓口」システムの多言語対応について、区の方針をお聞かせください。
⇒区民事務所をはじめとする窓口においては、通訳クラウドサービスやポケトーク等の機器の活用のほか、多言語による記入例の掲示など、来庁者に応じた多言語対応の充実を図っているところ。本年12 月導入予定の「書かない窓口」では、在留カード等の券面情報の申請書への自動転記については、国籍に関わらず対応可能となっている。また、機器操作に関するガイダンスの対応言語については、国際的に広く使用されている英語に加えて、区内外国人 人口上位3か国の言語である中国語、韓国語、ベトナム語を予定しており、大多数の外国人来庁者の対応が可能と考えているが、それ以外の様々な国籍の外国人の方にも対応できるよう、現在の窓口対応と同様に、機器の活用やチラシの配付などを組み合わせ、丁寧に対応する。
次に、防災訓練への外国人参加の推進について質問いたします。
災害はいつ、どこで発生するかわかりません。そのため、すべての区民が防災意識を高め、適切な行動をとれるようにすることが重要です。特に言語や文化の壁がある外国人住民にとっては、災害時の対応に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
こうした中、昨年、今年と、東十条地域の防災訓練で外国人住民も参加されました。外国人住民の防災意識向上と地域との交流促進という観点から、非常に意義深いものだったと評価しています。
しかし、こうした取り組みはまだ一部の地域にとどまっており、区全体に広がっているとは言えません。外国人住民が増加傾向にある北区において、防災訓練への外国人参加をさらに推進することは課題だと考えます。
そこで区長に伺います。今後の防災訓練への外国人参加の推進について、区としてどのような展開をお考えでしょうか。区の見解をお聞かせください。
⇒外国人が災害時の対応に不安に感じていることについては、区としても、地域防災力を向上させていく上で、課題であると認識している。
文化や言語の違いなどによって、災害時の対応に不安を感じている外国人に対しては、多言語での対応が可能な、北区防災ポータルや北区防災アプリを活用し、防災基礎知識を身に付けていただくとともに、防災訓練の開催情報を掲載するなどにより、外国人が地域の防災訓練へ参加しやすい環境を整えていく。
次のテーマとして高齢者・福祉施策について伺います。
いわゆる「社会的入院」の問題は、医療と介護の狭間で長年にわたり課題となっています。本来、医療の必要性が低いにもかかわらず、介護の受け皿不足などを理由に、高齢者が医療機関に長期入院せざるを得ない状況は、本人のQOL(生活の質)の低下だけでなく、医療資源の非効率な利用にもつながります。
この問題は全国的な課題であり、北区においても例外ではないと考えます。しかし、その実態把握は容易ではありません。医療と介護の連携が十分でない場合、正確な状況を把握することが難しいからです。
そこで、まず区長に伺います。北区として、区内における「社会的入院」の実態をどの程度把握されているでしょうか。把握されている場合は、その具体的な状況をお聞かせください。
⇒「社会的入院」について、区で実態を把握することは困難な状況。
また、この問題に対応するためには、在宅医療・在宅介護の充実が不可欠です。医療と介護の連携を強化し、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせる環境を整備することが重要です。そのためには、具体的な数値目標を設定し、計画的に施策を推進することが効果的だと考えます。
そこで、区長に重ねて伺います。在宅医療・在宅介護の推進について、北区として具体的な数値目標を設定し、取り組みを進めるお考えはありますでしょうか。例えば、在宅医療・介護サービスの利用者数や、多職種連携の会議の開催回数、在宅看取りの割合など、様々な指標が考えられますが、区としてどのような目標設定が適切とお考えでしょうか。
⇒区としては、在宅医療と介護を一体的に切れ目なく提供する体制の構築に向け、地域包括ケアシステムの推進、深化に取り組む。
在宅医療・在宅介護の推進にかかる数値目標について、区では地域包括ケア推進計画において、「住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けるために」の基本目標のもと、増加が見込まれる在宅医療・介護への対応に取り組むこととし、具体的な成果指標を設けているほか、多職種連携 研修会などについて、年度ごとの開催回数を計画化し、取り組んでいる。今後も、計画に定める指標や目標値の達成に向けた取り組みを進め、在宅医療・在宅介護の連携強化を推進する。
高齢者医療において検討すべきもう一つの重要なテーマが、終末期医療のあり方です。
内閣府の調査(平成24年)によると、「延命治療は望まず自然に任せてほしい」との回答が9割を超えています。しかし、現実には本人の意思に反した延命治療が行われるケースが散見されます。この状況は、患者の尊厳や自己決定権を尊重するという医療の基本理念に反するものであり、深刻な問題だと考えます。
こうした状況を踏まえ、近年、終末期医療における意思決定支援の重要性が指摘されています。特に注目されているのが、人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)です。これは、将来の医療やケアについて、本人や家族、医療・ケアチームが繰り返し話し合いを重ねる取り組みです。
人生会議の普及は、患者の意思を尊重した終末期医療の実現に大きく寄与すると考えられます。しかし、その認知度はまだ十分とは言えず、普及に向けた取り組みが求められています。
そこで区長に伺います。まず、本人の意思に反した延命治療について、区としてどのように受け止めておられますか。
また、人生会議(ACP)の普及に向けて、北区としてどのように取り組んでいく考えでしょうか。例えば、区民向けの啓発活動や、医療・介護従事者への研修など、具体的な施策についてお考えをお聞かせください。
⇒どのような状態で人生の最後を迎えるか、看取りや延命治療について、ご家族や友人、かかりつけ医などと話し合うACPの普及は、在宅療養の推進とあわせて重要な課題の一つであると認識。
現状では、人生の最終段階において、ご本人の意思が確認できないまま、心肺蘇生による救急救命の処置を行うなどの事例もあると伺っているところ。ACPの普及には、多職種による情報共有、様々な変化に応じた繰り返しの意思確認など、多くの課題がある。
まずは、ご本人とご家族が十分に相談しておくことが重要であり、区としては、引き続き東京都の作成するリーフレット等を活用した啓発に努めるとともに、多職種で構成する「北区 在宅療養 推進会議」において、関係者間で実施可能な取り組みの具体策を取りまとめていく予定。
次に、福祉人材のキャリアアップ支援について質問いたします。
福祉人材の確保と育成は、高齢化社会において喫緊の課題です。東京都では様々な施策を実施していますが、北区としても独自の支援策を検討すべきではないでしょうか。
特に注目したいのが、北区と北区社会福祉協議会が主催する「福祉のしごと総合フェア」です。このイベントは年3回程度開催され、多くの事業者や求職者が参加しています。令和5年度は3回の開催で182人が参加し、21人の採用に結びついたと伺っています。さらに、令和6年7月開催の会では来訪者が101名と過去最高を記録したとのことです。今年は、ハローワークを巻き込み、チラシのデザインにも力を入れたと伺っております。
この「福祉のしごと総合フェア」をさらに活用し、福祉人材のキャリアアップにつなげられないでしょうか。例えば、ブースを出す事業所の報酬体系を見える化することで、市場競争原理を促し、給与水準の向上につなげることはできないでしょうか。
また、北区では福祉資格支援事業として、介護職員初任者研修の受講料助成や介護福祉士の実技講習受講料、国家試験受験料の助成を行っていると伺っています。
そこで区長に伺います。まず、「福祉のしごと総合フェア」の活用について、報酬体系の見える化など、さらなる改善や工夫の余地はないでしょうか。また、この取り組みの広報力をさらに強化する考えはありますか。福祉人材の確保とキャリアアップは、質の高い福祉サービスを提供する上で不可欠です。その他北区独自の支援策がありましたら、区長の見解をお聞かせください。
⇒北区では、福祉職場の人材確保策を支援するため、「福祉のしごと総合フェア」を開催している。会場で掲示する求人一覧表には、出展事業所の求人職種、雇用形態、賃金等を掲載しているほか、事業所独自に紹介ボードを作成しており、各事業所のPRの場ともなっています。また、広報については、事業者のご意見も参考に、若い方の興味を引くチラシデザインへの変更や、大規模商業施設のデジタルサイネージでの広報などに取り組んでいる。
「福祉のしごと総合フェア」では、毎回、来場者と事業者にアンケートを行っているので、頂いたご意見や結果の分析を踏まえながら、今後も事業内容の充実、改善に努める。
火葬場事情についても伺います。
都内の火葬場は、法律制定前から運営されていたという特殊な事情から、民間の火葬場が認められています。しかし、その多くが現在、特定の企業によって運営されており、一方的な値上げや不適切な経営により、公益性に反する行為が行われているとの指摘があります。
火葬場は、国民の宗教的感情に適合し、公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく運営されるべき公共的な施設です。その経営には高い倫理性と公益性が求められるはずです。
しかしながら、東京都内の火葬場の独占状態を背景に、経営企業による営利追求の姿勢が強まっており、利用者である都民や区民に多大な不利益が生じている状況は看過できません。区内には火葬場はありませんが、近隣の火葬場は同じような状況です。都内では16年連続死亡者が増加するなど多死社会を迎えつつあり、火葬事情にも真剣に考慮すべきではないでしょうか。
こうした事情を踏まえ、区長に伺います。区民が負担する現状の火葬料金について、区は把握されているでしょうか。また、区長の考える理想的な火葬料金の水準について、見解をお聞かせください。
⇒墓地埋葬法施行前からの経緯により、23 区内では民営の火葬場が多数を占めており、都外の他自治体とは異なる状況にあることを承知している。火葬場は、区民生活に欠かせないもので公共的な施設であることから、その経営においては、永続性・非営利性が確保される必要があり、火葬料金の設定においても、これを踏まえたものでなければならないと考えている。
民営の火葬場における経営体制が多様化している状況をふまえ、本年8月26日付けで、特別区長会として、国に対し、火葬場の経営について、収支の透明性・非営利性の確保に関する要望書を提出したほか、特別区長会のホームページで対応経過をお示しし、区民の皆さまへの情報提供に努めている。
火葬場が設置されている区では、必要に応じて調査等を行い、適正な経営・管理について確認していると認識していますが、公益性の観点から、引き続き注視。
最後に、児童・生徒のスマートフォンやゲームの利用に関する規制について質問いたします。
まず1点目です。北区では、児童・生徒のインターネット依存やゲーム依存の未然防止に向けて様々な取り組みを行っていると理解しています。しかし一方で、過度な規制は子どもの自己決定権や「児童の権利に関する条約」の理念に反する可能性があるのではないでしょうか。
そこで区長に伺います。スマートフォン等の利用に関して、子どもの権利を尊重しつつ、どのようにバランスを取っていくお考えでしょうか。区長または教育長の見解をお聞かせください。
⇒北区においては、体育科や保健体育科、道徳科、特別活動等の授業をはじめ、様々な学校教育活動の場を通じて、ネット依存やSNSいじめの防止など、心の教育やネットリテラシーの向上に向けた取組みをしている。また、北区SNSルールを策定し、子どもと家庭が話し合いをしながらスマートフォン等の利用などに関するルール作りをしていただくなど、学校と家庭が連携した取組みも行っている。スマートフォン等の利用にあたり、新たに全体的なルールを策定する際には、学校と家庭が連携しながら、意見表明権など子どもたちの権利を十分に尊重する必要があると考える一方で、いじめやトラブルの未然防止等に必要となる、ルールは必要であると考えている。
次に2点目の質問です。香川県では、いわゆる「ゲーム条例」によって子どものゲーム利用時間を制限していますが、このような過度な規制は問題があると考えます。特に、「東京都北区子どもの権利と幸せに関する条例」第四条に規定される子どもの権利、具体的には「遊ぶこと」や「一人ひとりに応じた学ぶ環境が確保されること」等に違反する可能性があるのではないでしょうか。
そこで区長に伺います。北区では、香川県のようなゲーム利用制限条例は子どもの権利を侵害する恐れがあるため、制定できないと考えますが、いかがでしょうか。
⇒ゲーム利用の制限に関する条例を制定することは考えていない。
区長または教育長の見解を伺いまして、私からの質問を終わります。