2024年都知事選後から今秋までの北区政治勢力図

2024年7月に東京都で都知事選・都議補選がありました。そろそろ9月の北区議会も本格化してきたので、政治勢力的なところを本日時点(2024/9/5)で総括してみたいと思います。そして、今回は主義主張というよりもあくまでも「政治的勢力」という観点でまとめてみます。なお、今回は私の勝手な所感であり、所属する党の考え方とは必ずしも一致するとは限らないことを先に明記しておきます。

◎都知事選について
立候補者数56人と過去最高の数となり、様々な話題を呼んだ都知事選。結果から注目すべきなのは上位5人です。

1 小池ゆりこ 2,918,015 票(当選)
2 石丸伸二 1,658,363.406 票
3 蓮舫 1,283,262 票
4 田母神としお 267,699 票
5 安野たかひろ 154,638 票

【小池氏について】政治に少し詳しい人ならば、事前の情勢からも、小池氏が圧勝することは、予測できたことではありました。都民ファーストの会の特別顧問であり、自民党・公明党・連合などの支援を集め、安定した戦いを見せたと思います。ただ、今年前半の様々な選挙も加味して考えると、「自民・公明の支持が安定した訳ではない」「小池氏が推したからと言って必ずしも勝利するわけでもない」「小池氏の人気は小池氏そのものに限定的にしか反映されない」の3点は依然としてトレンドに残ります。また、小池都政・都民ファーストの会の正念場は、4年後以降です。既に3選を果たし、高齢ということを加味すると次期都知事選はさすがに小池氏ではどうなるかが分からなくなり、小池氏の風で受かった都議には、5年後、大きな試練が待ち受けます。知事の後継者をどのように育成するかは注目です。

【石丸氏について】2位になったということで、時の人となり、メディアで注目を浴びる石丸氏。彼の得票は「党より人」で選ばれる流れができているとみなすのが妥当なのかもしれません。政策とかは違いますが、ネットを駆使し、次はどこに出馬するのか議論を呼び起こし、適度に炎上をさせるような話題の作り方はれいわ新選組の山本太郎氏を彷彿とさせるものがあります。そういった意味から考えると、私が石丸氏の立場であれば「25年参議院選挙東京選挙区or新党を作って全国比例」で出るのが妥当だと考えます。

【蓮舫氏について】3位という結果は、特に立憲陣営の中で正しく総括する必要があります。2位でしたら次につながる負け方な訳ですが、3位という負け方で無党派を取り込めなかったと分析されることが多いです。立憲代表戦を含め様々な場で議論が既に起こっています。

◎都議会議員補欠選挙について
北区ではやまだ加奈子元都議(現区長)が北区長選に出馬したことで、都議会議員の枠がひとつ空いておりました。都知事選のタイミングで、都議補選が行われました。結果は以下の通りです。なお、2025年夏には3枠を争う都議選があります。来年は、今回出馬した4名に加え、公明党の大松あきら都議が加わり、5名(+新興勢力?)の戦いになると予測されます。今回落選したどの候補者も、現時点ではわりとチャンスがあるでしょう。

1 こまざき美紀(都民ファーストの会) 58,523(当選)
2 戸枝大幸 (自由民主党) 44,630
3 せいの恵子(日本共産党) 29,932
4 きとう直樹(日本維新の会) 26,686

【こまざき美紀氏について】元区議、前区長候補。個人的には、都民ファーストの会という看板で受かったというよりも、こまざき氏個人の候補者力の高さの結果なのかなと思います。前年の区長選で2位惜敗することで注目を浴び、知名度にブーストがかかっていたのも大きいでしょう。

【戸枝大幸氏について】区議を辞職しての挑戦。自民党としては、やまだ加奈子元都議の後釜に据えようとした訳ですが、2位で惜敗となりました。来年も出馬するとすれば、公明党の応援もなくなるため、票を減らす可能性は高いと思われますが、総裁選をきっかけに自民党の逆風も収まれば、減らす票もそこまで大きくないかもしれません。

【せいの恵子氏について】区議を辞職しての挑戦。選挙直前に共産党からの立候補を表明しました。共産党はある程度の組織票もあるため、短期間の活動であっても、一定票を取れたという見方ができます。実は北区には既に現職の共産党都議がいます。来年も出馬するとすれば、現職の後継という形になりそうです。

【きとう直樹氏について】告示2週間前に立候補を表明した人物です。短期間で知名度ほぼ0から2万票以上を積み上げました。そういった意味では、来年も出馬するとすれば、伸びしろしかないのでこれからの活動は非常に重要になってきます。

◎北区議会の勢力図について
都議補選によって、自民党の区議、共産党の区議が1名ずつ減ることとなりました。よって、議員は40名→38名となります。都議選後の北区議会の状況、および9月の第3回定例会の注目ポイントについて、みてみましょう。

公明党議員団(10名):自民党の会派分裂を機に、最大会派となりました。イレギュラーな時期はありましたが、最大会派から議長が選出されることが多く、このペースだと、来年の議長改選では悲願の公明党議長が誕生する可能性があります。ただ、あくまでも議会内選挙で最終的に決まるため、最大会派だからといって何でもできる訳でもないでしょう。

自由民主党北区新時代の会(7名)自由民主党議員団(4名→3名):政党としてはどちらも自由民主党ですが、区政運営の温度感の違いから、自由民主党議員団から新時代の会が飛び出した形で、会派が分裂しました。都議補選前は、新時代の会は共産党と2位タイでしたが、共産党議員が補選に立候補して1名減ったため、単独2位となりました。
 逆に自由民主党議員団については、ここから補選に立候補して1名減ってしまったので、こちらは単独5位が5位タイになってしまいました。なお、現状、自由民主党議員団の1名が議長となっているため、フリーに動けるのは実質2名です。個人質問は4回の定例会で毎回できますが、代表質問は同じ人は年1回しかできないことになっているため、自由民主党議員団は今回は代表質問を見送る模様です。

日本共産党北区議員団(7名→6名):都議補選前は、新時代の会は共産党と2位タイでしたが、共産党議員が立候補して1名減ったため、第三会派となってしまいました。第三回定例会では、指定管理の議案が複数提出されていますので、議論が大いに盛り上がると予測されます。

立憲クラブ(4名):実は、今年の春、幹事長の交代がありました。そのためか、構成員は変わらずとも会派の雰囲気は変わったように見えます。前回の第二回定例会では、「区長会が小池百合子都知事への出馬要請したこと」についての質問をしましたが、今後の質問の毛色には注目です。また、この夏は、超党派で視察を企画するなどの動きもしています。

日本維新の会北区議員団(3名):都議補選での稼働はあったものの、会派の構成には現時点で特に変更はないです。維新会派は第一回定例会の代表質問で定数に言及するなど、議員定数削減について比較的強く主張している会派ですが、前期も踏まえ北区議会が38人体制であることを踏まえると、今後その論調は強くなる可能性があります。相変わらず、第三回定例会でも3名とも本会議の一般質問で登壇する予定です。

以下、無会派(会派を組まずに一人で活動、代表質問はできない)。

無所属:2024年5月に「チーム北区みらい」を脱退したとのことです。チーム北区みらいにはこまざき美紀氏が所属しています。第三回定例会では、決算特別委員会の委員として発言の機会がある他、メインフィールドである教育子育ての関係の質問をする予定です。

都民ファーストの会:上記無所属とは対照的に、こまざき美紀氏が都民ファーストの会に入党しました。これによって、北区の街中では、かつてないほど都民ファーストの会のポスターが増えている状況です。そして、都議と区議は今後どこまで連携するのか注目です。第三回定例会では、決算特別委員会の委員として発言の機会があります。

新社会党:北区における政治的に変わったイベントはなし。一般質問の通告はなく、決算特別員会の委員ではないため、本日時点では第三回定例会において目立つ議会行動の予定はありません。しかし、討論などの場に立つことが多く、今回も討論という形での意見表明をすると考えられます。

れいわ新選組:北区における政治的に変わったイベントはなし。第三回定例会では、メインフィールドである介護関係の質問をする予定です。

国民民主党:北区における政治的に変わったイベントはありませんが、来るべき衆議院選を見越して、区内を街宣車で走り回ることがあります。一般質問の通告はなく、決算特別員会の委員ではないため、本日時点では第三回定例会において目立つ議会行動の予定はありません。

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