2024年7月25日に東北日本海側で豪雨災害がありました。特に秋田県や山形県で被害が大きく、残念ながら、本投稿時点で両県併せて4名の犠牲者も出てしまいました。また先週の報道によると1700棟の浸水被害が出たとのことです。犠牲者のご冥福、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
8月8日に東京都北区の友好都市である山形県酒田市にボランティアに行ってまいりましたので、本記事では、その報告事項を記載します。
◆活動報告と現場状況
基本的にボランティアセンターでマッチングされた2か所の現場で泥かきや粗大ごみ運びなどをさせて頂きました。規定や個人情報保護の観点から、ここでは詳しく報告できませんが、午後に行った地域では屋根が崩れ落ち、泥が床上50cmも体積しているような状況でした。また、移動中に道路が下記写真のように崩れている場所も散見されました。酷いところだと、2車線道路なはずが、崩れ落ちて1車線になっていたところも。
◆ボランティアの仕組みについて
災害ボランティアは、一般的に各地域の社会福祉協議会(以下、社協)が、ボランティアセンター(以下、ボラセン)取り仕切っています。基本的に、地域の被災者がボランティアの依頼をし、全国各地のボランティア希望者とマッチングを行います。ボランティア希望者は、車の有無、資格・技能の有無(医療系資格有無や工事現場で働いていた職人的技能など)を総合的に判断された上で、現場に割り振られます。私のように車無し・資格無しの人でも、泥かきなどの作業が割り当てられることもあります。今回の大雨に対しては以下のページからだとボランティア募集要項を探しやすいです。
⇒全社協2024年7月25日からの大雨 特設ページ
また、ボランティア希望者は、現場に移動を開始する前日までにボランティア保険に加入をすべきです。活動中に怪我をする可能性だけでなく、逆に活動中に器物破損をさせる等のリスクもありますので、加入するべきです。加入手続きは各地の社会福祉協議会窓口で行うことができます。北区の場合は、北とぴあ4階の「北区NPO・ボランティアぷらざ」(月曜定休)にて手続きを行うことができます。加入手続き自体は短時間で終わりますが、銀行振込による入金作業があることだけ注意しましょう。
◆酒田青年会議所の活躍
今回の災害で特に活躍を見せたのは、青年会議所、いわゆるJCと呼ばれている存在です。JCは青年経済人と称される地元の若手の経営者や士業者、議員等が集まり、地域貢献活動をしている団体。通例であれば、わんぱく相撲や地域を巻き込んだ事業、お祭りの手伝いなどをしているケースがほとんどですが、今回はボランティアセンターの立ち上げに一般社団法人酒田青年会議所が、大きく貢献していました。
例えば、豪雨の後、泥かきなどに使う道具や車などの物的リソースを酒田JCがかき集めてきました。また、2013年の山形県南陽市における復興活動の資料を参考にボラセンの運営に知恵を出し、酒田市においては2つのボラセンがありましたが、発災後から数日間は酒田JCがそれぞれメンバーを3人ずつ常駐させるなど、センターの切り盛りをしておりました。(本人たちにも社業があることを考慮すると、外部目線からすると、ここまでコミットするのはかなりの負荷であると推測されます)。また、寄付等の呼びかけも積極的に行い、具体的な金額はこの場で発言するのは控えますが、一定の額を集めたとのことです。なお、この呼びかけで、公益社団法人東京青年会議所北区委員会からも、2回に分け、現時点で合計161,000円の寄付をしております。写真は酒田JCの理事長と専務とのスリーショット。
◆酒田市豪雨の課題
酒田市が対面する課題としては次のとおりです。
・被害の大きかった山間部と被害のほぼない中心部で、意識の差が大きく、割合として地元ボランティアが少なかった。自治体全体における復興機運醸成が必要。
・住宅への対応は少しずつ進んでいるが、農業を含めた産業へのダメージケアの指針が見えていない。特に梨農園は木がダメになると数年間は収穫が期待できなくなるなど、むこう数年間にも影響する具体的な産業課題が出てきた。
・基本的に物資面の不足はあまりないが、トラックとお金がこれから必要になる。
また、JC在籍者として思ったことは次のとおりです。
・JCは地域社会に貢献団体ではあるが、災害対応に特化した集団というわけでもなく、それぞれ社業の合間に活動している。自身の社業や家庭との兼ね合いから、長期間のコミットも難しいため、役割を明確化して地域の危機に対峙すべき。
・緊急時において、理事会やブロックは、ある程度の柔軟な対応をしても良いかと思われる。
・JCは、地域の経済団体との絡みは大きいが、町会自治会との絡みが薄いところもある。緊急時には町会自治会との関りが増える。普段から最低限の関係性を保つ意識は持った方が良いかと思われる。
友好都市である北区の区議として思ったことは次のとおりです。
・「東京JC北区委員会」や「あたらしいフェス」などでも募金の呼びかけがあったが、友好都市として区が募金呼びかけするのは良いことかと思われる。
・避難場所開設訓練はよく行われているが、ボラセンの開設訓練も大事。
・首都圏で大規模災害が発生した場合に備え、住民自らががれき撤去等を自発的にできる体制を整えるべきである。
最後に、7月ぐらいより豪雨や台風、南海トラフ地震に関連する地震など、日本各地で自然災害が断続的に発生しております。改めて被害に遭われた方にお見舞い申しあげます。私個人としても、真剣に向き合っていく所存ですし、地域団体や行政ももちろん真剣に向き合うことでしょう。しかし、これほどまでに同時多発的な場合、支援の手はいくらあっても足りません。ひとりひとりが「助かる人になる、助ける人になる」という意識を持つべきなのでしょう。